事業承継税制と中小企業経営承継円滑化法>>遺留分に関する民法の特例
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民法特例に係る合意

 民法特例に係る合意には、必要的合意と付随的合意があります。
 

必要的合意

 (1)当事者(先代経営者の遺留分を有する推定相続人全員)の合意
 後継者を含む先代経営者の推定相続人(遺留分権利者)全員で、書面により、除外特例、固定特例について合意をします(円滑法4@)。また、除外特例や固定特例に併せて、一定の財産を遺留分の対象から除外する場合も同様です。
 
 (2)合意の対象となる株式を除くと、後継者が議決権の過半数を確保することができない
 後継者が所有する株式等のうち合意の対象となる株式等を除いたものに係る議決権の数が総株主又は総社員の議決権の100分の50を超える数となる場合には、民法の特例に係る合意をすることができません(円滑法4@ただし書)。
 

 
 (3)非後継者がとることができる措置の定めがある
 以下の場合に非後継者がとることができる措置に関する定めをしなければならないことになっています(円滑法4B)。
   ・後継者が合意対象の自社株式を処分した場合
   ・先代経営者の生存中に、後継者が代表者を退任した場合
 
 (具体例)
 非後継者は、合意を解除することができる旨
 非後継者は、後継者に対して一定額の金銭の支払を請求することができる旨
 

付随的合意

 (4)後継者が取得した株式等以外の財産に関する遺留分の算定に係る合意
 上記(1)の合意をする際に、併せて、先代経営者の推定相続人全員の合意をもって、書面により、後継者が先代経営者からの贈与等により取得した株式等以外の財産についても、遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の定めをすることができます(円滑法5)。
 これは、後継者が先代経営者からの贈与等により取得した株式等以外の財産で、事業活動を継続していくために必要なものについても、後継者が確保できるようにし、経営承継の円滑化をよりしやすくするためです。
 
 (5)非後継者が取得した財産に関する遺留分の算定に係る合意
 上記(1)の合意をする際に、推定相続人間の衡平を図るための措置として、先代経営者の推定相続人全員は、非後継者が先代経営者からの贈与等により取得した財産(自宅不動産など、代償財産)について、遺留分算定基礎財産から除外する旨の定めをすることができます(円滑法6A)。
 民法特例に係る合意の対象を、後継者が先代経営者からの贈与等により取得した株式等やその他の財産に限定すると、後継者が一方的に利益を得る制度となってしまい、後継者と非後継者との間の衡平を害し、非後継者の同意を得るのが困難となります。このため、非後継者が先代経営者からの贈与等により取得した財産についても、遺留分算定基礎財産から除外する旨の定めをすることができることとしています。
 
 (6)推定相続人間の衡平を図るための措置に関する定め
 上記(1)の合意をする際に、併せて、先代経営者の推定相続人全員の合意をもって、推定相続人間の衡平を図るための措置に関する定めをする場合においては、当該定めは、書面によってしなければならないことになっています(円滑法6@)。
 民法特例に係る合意について非後継者の同意を得るためには、上記(5)「非後継者が取得した財産に関する遺留分の算定に係る合意」の定めや後継者から非後継者に対して一定額の金銭を贈与するなど、推定相続人間の衡平を図るための措置を講ずることが想定されます。このような措置を講じた場合には、当該措置を含めた合意の全体が経済産業大臣の確認や家庭裁判所の許可手続における資料となることから、当該定めについて書面を作成すべき旨を規定しているのです。
 
 (具体例)
 後継者は、非後継者に対し、一定額の金銭を支払う旨
 後継者は、先代経営者に疾病が生じたときの医療費を負担する旨